九州にある脇往還（脇街道）のひとつである長崎街道。
江戸時代の重要拠点である長崎と江戸を結ぶルート上にある街道として、とても重視されていました。
本記事では、長崎街道の嬉野（うれしの）宿から彼杵（そのぎ）宿の手前までを自転車で実際に走ってみて、現地で見た街道沿いの史跡や景色などをご紹介しております。
嬉野の地の歴史を調べたところ、宿場町だった地域は元々温泉場として栄えていたそうです。
宿場町の中心部を流れる塩田川（嬉野地区では嬉野川と呼ばれることも）を挟むように温泉宿が建ち並んでいまして、とても趣深い温泉地として人気があります。
現在、常盤橋から長崎県側の起点までを自転車で走破すべく、時間のある時に少しずつ走っています。
長崎街道の走破（現在挑戦中）に関しましては、別記事「長崎街道 ポタリング地図 江戸時代の歴史を感じる旅日記」に書かせていただいてますが、本記事はその部分的な記事になります。
全工程をまとめる予定の別記事の方もご覧いただければ幸いです。
（追記）
2023年10月31日に常盤橋から長崎まで走破することができました！
宿場町ごとの記事は順次追加していく予定です。
長崎街道のルートマップ（嬉野宿から彼杵宿）
自転車で長崎街道を走行する際には、入念に事前調査を行った上で行っています。
その際に、Googleマップのマイマップ機能で、走行ルートや史跡ポイントなどを記録していまして、そのマップを確認しながら走行してます。
下のGoogleマップは、私が実際に走行したルートを公開用に再編集したものです。
これが長崎街道の本ルートだ！というものではありませんので、参考程度にご利用いただければと思います。
地図内の数字アイコンで示す場所は、以下で解説しておりますポイントになります。
長崎街道のルート解説（嬉野宿から彼杵宿）
古い歴史のある嬉野温泉は、当時の面影が残る素晴らしい観光地です。
宿場内の街道筋はほぼ真っすぐな道でして、構口（宿場町の出入口）間は500mほどでした。宿場町にありがちな鍵型道路はありませんし、とてもシンプルな街並みです。
調べたわけではありませんが、温泉がメインの宿場町という感じだったのかもしれません。
嬉野宿を出てから彼杵宿までの街道筋はひと山越える必要がありまして、何か所か難所が待ち構えています。
嬉野宿の様子
片道一車線の道を進んでいますと、街灯が建った脇道が見えてきます。（地図内①）
この細い道が、街道筋になります。200mほど進みますと、車道に合流します。
合流してすぐの左脇に、東構口の案内板がありました。（地図内②）
案内板によりますと、位の高い方々の宿である本陣は、宿場町から少し外れたお寺（瑞光寺）が使われていたようです。
宿場町の中心地付近の川沿いに、シーボルトの湯という公衆浴場がありました。（地図内③）
江戸時代には藩営浴場がありまして、老朽化のため一度は消滅したのですが、平成になって見事に復活したそうです。
入浴料が1コインでおつりがきますので、とてもおすすめです。私は湯冷めしそうなので、今回はやめておきました。
街道筋に戻って少し進みますと、左手に西搆口の案内板が見えてきます。（地図内④）
案内の内容は、東構口のものと同じでした。
ここから先は、区画整理などによりまして街道は消滅しています。
当時のおおよそのルートは地図内に赤線で示していますので、ご参考になさってください。
彼杵宿への道（俵坂峠まで）
嬉野宿を出ますと、しばらく平坦な道が続きます。
国道34号線を渡ってすぐのところに「旧長崎街道」の石碑が見えますので、そちらの細い道を進みます。（地図内⑤）
しばらくは、街道筋っぽい緩やかにうねった道を進んでいきます。
お茶で有名な嬉野だけあって、茶畑が多いですね。
地図内の赤線部分（轟の滝公園の西側）が当時の街道筋だったようですが、田畑によって消滅していました。
実際に赤線地点に行ってみて、なんとなく道っぽいものは確認できたのですが、街道の跡なのか畦道（あぜみち）なのかそうでないのか判断できませんでした。
私有地と思われましたので、付近の道に迂回することにしました。
県道106号線の右脇に、「丹生大明神」の額が付いた平野丹生神社の鳥居がありました。（地図内⑥）
長崎街道はその神社のそばを通っているようですので、鳥居をくぐって神社の方に向かうことにしました。
平野丹生神社の二の鳥居の前を左折してしばらく進みますと、塩田川に架かる橋が見えてきます。
私が訪れたときは、護岸工事の真っ最中でした。（地図内⑦）
橋を渡ったあたりから、次第に勾配が急になってきます。
国道34号線を横切って、階段を上ります。（地図内⑧）
階段の先には、岩がゴロゴロと散乱している道がありました。
当時は石畳だったのか、畑を耕したときの岩なのか、この岩の正体は不明です。歩く際は、転んで大けがをしないようにご注意ください。
階段を上らずに、国道34号線の歩道を進んで、150mほどのところを左折する迂回ルートを選択するのもアリだと思います。
その先は結構な勾配できついのですが、高所から見下ろす景色に癒されます。
木々に囲まれた道を進む場所もあります。
再度国道34号線を横切りまして、集落の中を進んでいきます。
俵坂番所跡が見えてきました。俵坂の関所があった場所になります。（地図内⑨）
そばの街道筋の脇に、当時の石畳が残されていますので探してみてください。
石碑の脇にある案内板はキレイで読みやすいのですが、石碑の土台部分にある案内板の内容の方が詳しく書かれていますので、ご一読されることをお勧めします。
俵坂番所跡の先の街道筋は、国道34号線を進むことになります。しばらく歩道がありませんので、車に十分注意してください。
坂道の途中から街道筋は国道から右に入るのですが、道が無くなっていましたので、途中の地点から合流することにしました。
合流地点には、籠立場跡の石碑がありました。（地図内⑩）
その先の道は舗装されていませんので、季節によっては通行が困難かもしれません。
しばらく行きますと、右手に釈迦堂が見えてきます。（地図内⑪）
その先で国道34号線に合流しますが、この辺りが俵坂峠でして、ここからは下り坂が続きます。
彼杵宿への道（俵坂峠の先）
俵坂峠の先は一部国道34号線を進みますが、歩道が無いところがありますので、十分注意して通行してください。
俵坂峠の先は、国道34号線から左に折れて細い道を進みます。
右手に、坂本千部塔がありました。（地図内⑫）
その先で国道34号線沿いを進む部分では、一部歩道が無い部分がありますのでご注意ください。
2つ目の千部塔（菅無田）の脇から右に入りまして、すぐまた国道34号線に合流します。（地図内⑬）
国道に合流した後は歩道を進みたいところですが、300ｍほど下ったところを左側に入りますので、道の左側の車道脇を進んだ方が行きやすいと思います。ただし、車には十分注意が必要です。
街道筋は、地図内⑭の場所にある長崎街道の看板の部分から林の中に入っていきます。
地図内⑭から入った先の道は竹の切り株があって、転ぶと大けがにつながります。
不安な方は、そのまま国道脇の歩道を進んだ後、どこかで左に入って地図内⑰の場所で街道筋に合流しましょう。
竹林の中には、下の写真のような道があります。
場所によっては切り株がありますので、十分ご注意ください。
50mほど進みますと、鳥越一里塚跡の案内板が見えてきます。（地図内⑮）
そのすぐ先には、石碑がありました。
そのまま道なりに進みますと、長崎街道の標識のある道に出ます。
しばらく長閑な田舎道を進みますと、立派な大楠が見えてきました。（地図内⑯）
現地の案内板によりますと、現在の大楠は二代目で、初代の大楠は当時の様々な文献に登場する有名な樹木だったそうです。
広い歩道のある車道に出てしばらく進んでいますと、右手に愛宕神社の鳥居と長崎街道の石碑がありました。（地図内⑰）
しばらく進んだ先にあります一ノ瀬橋を渡りますと、彼杵宿はもうすぐです。（地図内⑱）
今回はここまでとさせてください。
まとめ
本記事では、嬉野宿から彼杵宿の手前までをご紹介しました。
ひと山を越えるルートでしたので結構な坂道が多く大変でしたが、当時を思わせる街道筋が多かったのでとても楽しめました。
現地で見つけた史跡やスケジュールが押したため参拝を断念した神社仏閣など、再訪したい場所がありますので、またいつか来たいと思います。
特に、俵坂関所跡の石碑に書かれていた抜け道についての記述は、とても興味深いと思いますので現地で探してみたいです。
長崎街道沿いの地域は今後もさらに発展していくと思われますが、昔の交通の要であった道を残し続けてもらいたいですね。
本記事に掲載しましたスポット以外にも、長崎街道沿いには見どころがたくさんあります。
部分的でも良いですので、ぜひあなたご自身でご確認いただければと思います。
長崎街道の全行程は下の記事をご覧いただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました！
（参考文献）
(1) 長崎街道 伊能図で甦る古の夢 著：河島 悦子
(2) 長崎街道 肥前佐賀路 （九州文化図録撰書）
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